ウミタナゴは2007年までは1種だったのですが、「アカタナゴ」と「ウミタナゴ」の2種に分けられました。鮮やかなオレンジ色のウミタナゴを釣ったことのある人もいると思いますが、あれがアカタナゴ。別種だったんですね。本コラムでも別種で扱うべきところですが、経緯を含めてまとめて紹介します。学名(科名+種名)は次の通りです。
ウミタナゴ Ditrema temminckii
アカタナゴ Ditrema jordani
同時に「ウミタナゴ」には「マタナゴ」という亜種がいる、ということになりました。亜種とは別種とまではいかない地域的な差で、日本海側にいるのが本来の「ウミタナゴ」、太平洋側にいるのが「ウミタナゴ」の亜種の「マタナゴ」ということになりました。マタナゴの亜種名は「pacificum」で太平洋という意味で、ウミタナゴの種名のあとにこれが続きます。房総で釣れるウミタナゴは自動的に「マタナゴ」ということですね。
マタナゴ Ditrema temminckii pacificum
さて、ウミタナゴですが、春先に良く釣れ、煮つけにしたり、塩煮にしたりします。姿が良いので見栄えはしますが、味はいたって淡泊。この魚の特徴は卵胎生、つまり卵でなく子供を産むということ。腹を割いてドバーッとタナゴの子が出てくると、何かすごく悪いことをしてしまったような気になります。ですので、子は捨てずに、かき揚げ等にして食べることにしています。
アカタナゴ
Ditrema jordani
ウミタナゴの亜種 “マタナゴ”
Ditrema temminckii pacificum