房総の魚たち・陸っぱり釣り師の備忘録

房総の陸っぱりを中心とした釣行と、釣魚料理の記録。釣りのジャンルは、浮きフカセ、シーバス、陸から少し離れたボート釣りなど。これまで釣った房総の魚たちを紹介する「房総釣魚図鑑」や、エッセイなどもアップしていきます。

馴染みの店⑤ 常連とは?

またやってしまった・・・。通過するだけのつもりなかったのだが・・・。つい・・・。

その金曜日は酒蔵信州で買ったお気に入りの日本酒「黒澤80」の四合瓶をカバンに入れていた。スーパーで刺身でも買って、コイツで金曜の夜をささやかに楽しもうと思っていた。しかし。よせばいいのにわざわざ馴染みの店の前を通ると、金曜だというのに空いているじゃありませんか。(そうだ、大将の肴でコイツを飲もうか?)。むくむくと良からぬ考えが膨らんできて、気づいたら、もう暖簾をくぐっていた。とほほ。

大将は私の顔を見るなり「いい時に来た。これ上げます」と、一枚の紙を出した。手に取ると何かの講演会の案内文だ。「さっきまでいた〇〇さんが、あなたに渡してほしいって」。しばらく、訳が分からなかったが、だんだん思い出してきた。その〇〇さんは、年末に居合わせた客で、歴史の話しで盛り上がった。彼は、何かの勉強会の幹事をしていて、そのときも「時間があったらどうぞ」と講演会の案内をくれた。その講演会にはいけなかったが、彼は私を覚えていたようだ。今回の講演の内容も、やはり歴史もので「西南戦争」とか「戦艦」といった歴史マニアの好きそうなワードが並ぶ。怪しげな自己啓発セミナーの類とは違うようだ。「それにしても、名指しとは光栄ですねぇ」。

この日は、アサちゃんもいて、持参した黒澤をついでもらった。刺身は、ヒラメと、縁側、ホタテ。いい気分であっけなく四合瓶を空けてしまった。ちょうど読み終わった文庫本があったので、彼女に進呈した。米澤穂信の短編集「満願」である。米澤穂信はアニメにもなった「氷菓」の作者なので、へべれけのおじさんは、高校生にぴったりのように思ったのだった。

アサちゃんの帰った後、酒の持ち込みの話しになった。事前に「好きな酒があったら持ち込んでいいですよ。チャージはいただきますが」と言われていた。ところが、実際に持ち込む客はめったにいないそうで、私で3人目くらいだという。

この店の常連になりたくて、昨年から通っている。最近、大将をはじめ、アルバイトの女の子、他の常連さんなどと良い関係が築けてきたように感じる。こういうのも、ひとつの財産じゃないかな・・・。「新ボートでキス釣ったら、天ぷら、よろしく」と言い残して、千鳥足で家路についた。